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心臓病

21世紀は心臓病の時代

ガンについで高い死亡率を示しているのが心臓病です。厚生省の人口動態統計(94年)によれば、人口10万人あたりの死亡率は、悪性新生物(ガン)がトップで196.4人第2位が心疾患(心臓病)で128.6人第3位が脳血管障害で96.9人となっています。

ある専門家は、21世紀には、おそらく心臓病がガンを抜いてトップになるのではないかという、うれしくない予想を立てています。もちろん医学技術の進歩で、ガンそのものが死亡率ランキングから後退してくれるのは願ってもないことなのですが、心臓病が増えてくるというのは気になります。
その理由は、欧米並みになった食生活と過剰なストレス社会。ちなみに、欧米先進国の死因の1位は心臓病です。つまり、環境的な条件が心臓病を生み出している、というわけです。

最近、問題になっている過労死、突然死(サドンデス)の多くは心臓病によるものです。これは欧米的というよりも、むしろ一生懸命に休まず働く、日本人特有の現象なのかもしれません。

自分の生活習慣がつくる病気

心臓自身が活動するためのエネルギーとは

心臓病というと、何かとても難しい病気のように考えられがちですが、そうではありません。血管の障害が循環器系(ここでは心臓)で起こる病気のことをいいます。心臓への血液の流れが一時的に悪くなると「狭心症」、心臓へつながる血管が詰まると「心筋梗塞」。いずれも心臓に血液が届きにくくなる状態。いいかえれば、心臓が正常に活動するためのエネルギーが滞った状態です。そのため、心臓が危機的状況に陥ってしまうのです。

「でもヘンですね。心臓にはいつも血液が送られてきているのでしょ。心臓には、血液がいつも、たくさんあるのではないでしょうか」
そう考える方がいらっしゃると思います。たしかに、心臓は体のすみずみまで血液を送る一大血液集積・発送センター。そこには、いつも血液がたくさん集まっています。
ところが違うのです。心臓は、心臓自体が活動するために血液(エネルギー源=栄養素)を送る、“専用の血管”を持っているのです。つまり、心臓は心室や心房の中に流れている血液から直接栄養を受けとるわけではないのです。

心臓の仕組みは、親方(洞結節=心臓のリズムをとるところ)の指示で、ポンプマン(心臓の筋肉)がポンプ(心臓)を押す、というふうにたとえることができます。ポンプは全身へ血液を送ります。このとき、ポンプマン自体もポンプから血液をもらいます。この血管を冠状動脈といいます。「冠状動脈」という言葉をよく耳にします。これこそが、心臓のための“専用の血管”。心臓が正常に働くための血液(エネルギー源=栄養素や酸素)を送る、まさに心臓だけのためにある血管なのです。

心臓は、血管が大きく変化してできたものと考えるとわかりやすいでしょう。1本の血管が進化し、精巧なポンプのような機能を持つようになったもの、それが心臓なのです。血管はある種の筋肉でできています。心臓の筋肉のことを「心筋」といいます。この「心筋」が、伸び縮みして心臓をポンプのように動かしているのです。
心筋が伸び縮みして心臓を動かすには、エネルギー源となる血液が必要です。この血液を送るのが、“心臓だけの専用の血管”=「冠状動脈」なのです。このメカニズムさえわかれば、心臓病の大半を理解することができるのです。

心臓病の多くは環状動脈のトラブルが原因

心臓は、「心筋」という筋肉でできた臓器であることはすでにお話しました。この心筋に血液=栄養や酸素を送るのが冠状動脈であることも、もうおわかりいただけたことと思います。なぜ“環状”という名が付けられているかというと、心臓の周りをまるで冠(かんむり)のようにとりまいているからです。心臓病の多くは、この冠状動脈にトラブルが生じることによって起こります。

例えば、この冠状動脈が動脈硬化のために細くなったり、血栓などで詰まったりすると、ポンプマン(心筋)に栄養や酸素が届きにくくなります。ポンプマンがへばってしまうとポンプ(心臓)のパワーもダウンします。そうすると悪循環が起こり、最悪の場合はストップしてしまうわけです。

虚血性心疾患、あるいは虚血性心臓病という病名を聞いたことがあると思いますが、まさにこのことをいうのです。つまり、冠状動脈の血流が低下し、心筋が血液不足を起こした状態。それを虚血というわけです。
虚血性心臓病とは、心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠状動脈の血液の流れが不足し、心臓の働きが悪くなる(リズムの乱れ、パワーダウン、ストップするなど)ことをいうのです。つまりポンプマンへ行く血液が少なくなったために、ポンプマンがうまく仕事ができなくなった状態なのです。

では、冠状動脈が深くかかわっている心臓の主な病気についてみてみましょう。
冠状動脈が動脈硬化を起こし、血液の流れが悪くなったり、ポンプマンが頑張りすぎて相対的に血液不足となった状態、いずれにせよ心筋が一時的に酸素不足になる状態、これが狭心症です。

「狭心症」の発作は、体を激しく動かしたあと、また精神的に興奮状態になったときなどに、胸の痛み(右胸、肩、背中、腕が痛む場合もある)を伴って起こります(労作狭心症)。あるいは、ひどくなると安静にしていても起こります(安静狭心症)。痛みは数分から15分。安静にしていれば、比較的短時間でおさまります。胸が締めつけられるような痛み、あるいは胸が圧迫されて息がつまるような状態になることも多いものです。

冠状動脈が動脈硬化などで細くなり、そこに血栓(血液の固まり)ができて閉塞してしまい、心筋に栄養不足、酸素不足をきたし、心筋の細胞が壊されて死んでしまった状態が、心筋梗塞です。痛む部分は狭心症と同じですが、顔面蒼白、血圧降下、冷や汗などがあらわれ、20分から数時間、強烈な痛みを伴います。もちろん、我慢は禁物。すぐに病院に行ってください。安静にしていれば治るというものではなく、命の危険を伴います。現在、問題になっている働き盛りの人を襲う「突然死」の多くは、心筋梗塞が原因になることが多いのです。

不整脈を気にするとよけいに悪くなる

さて、心筋梗塞、狭心症と並んで多い心臓病の1つが不整脈です。心臓は1分間に60〜100回拍動します。

不整脈は大きく分けると、(1)早いとき(頻脈)・(2)遅いとき(徐脈)・(3)リズムが狂うとき
となります。

例えば1分間に150回くらい拍動したり<(1)>、40回であったり<(2)>、トン、トン、トン、トンと打っていたのが、何かの拍子にトン、トン、ト、トッ、ト、トトト、トン、トンというふうに脈が乱れてしまったりするのです<(3)>。心筋に傷ができた場合にもこの不整脈が見られます。最悪の場合は心臓が停止することもあります。

このリズムを一定にするのが先ほど述べた「親方」の役目。親方は心房の洞結節というところにあります。ここで心臓のリズムを保っているのです。不整脈は、親方自体がおかしくなり、異常な指示を出したときや、ポンプマンが親方の指示を読み違えたとき、親方もポンプマンも正常なのにポンプ自体が故障して、正常に動かないときに起こります。

しかし、ほとんどの不整脈は、さほど重大な病気ではありません。というのは、不整脈は、健康な人でもよくみられる症状だからです。いってみれば、心臓のクシャミのようなもの。心臓は1日に10万回、拍動しています。しかも、生まれてからずっと鼓動を続けているわけですから、ちょっとしたリズムのつまずきがあっても、不思議ではありません。1日に数回〜数十回程度の不整脈は問題がありません。

不整脈や動悸がかなり続くような場合は、ホルター心電図を使い、24時間の心電図をとることをお勧めします。これは、テープレコーダー式の記録装置で、痛みなどの苦痛はまったくありません。気になるようなら1度、検査を受けてみるのもいいでしょう。
ところで、不整脈をあまり気にかけていると、異常がないのに不整脈として感じることもあります。気にしすぎるのもよくありません。

ファイトあふれる積極人間は要注意

アメリカのある精神科医は、人間の行動を分析してA、Bの2つのタイプに分けました。
A型人間は、短期でせっかち。積極的によく働き、闘争心にも富んでいます。血圧も少々高め。仕事に対する自負心、競争意識も強く、休むことがなかなか苦手。いわゆる仕事の虫となり、少々、体の調子が悪いくらいでは仕事を休みません。
一方、B型人間は、のんきでマイペース。面倒なことは途中で放棄し、それに対する罪悪感もあまりありません。つまりは楽天的なのです。趣味も多く、社交的。仕事以外の時間を大切にします。

これはいわゆる血液型のA、B、AB、O型という分類とはまったく無関係。あくまでも性格をタイプ別にしたものです。さて、冠状動脈疾患、虚血性心疾患はどのタイプに起こりやすいのでしょうか。すでにお気付きのように、それはA型人間。しかし、あくまでアメリカ人に関してつくられた性格と病気の関係。日本人にそのまま当てはめるのには無理がありますが、一つの目安として知っておくのもいいでしょう。

心臓病は自分のライフスタイルがつくっている

狭心症、心筋梗塞をはじめとする代表的な心臓病は、血管の老化によって起こることが、おわかりいただけたと思います。血管の老化といえば、動脈硬化です。

つまり、動脈硬化が危険な心臓病を呼び込む最大の原因となるわけです。心臓病とは、心臓それ自体に起因する病気(例えば、ポンプそれ自体の故障=心臓弁膜症など、ポンプマンや親方のリズムの取り方のミス=心房細動など)よりも、ポンプから出るホースの老化、つまり血管の老化=動脈硬化によるところが大きいのです。

このことは、結局は不健康なライフスタイルに帰結します。運動不足、肥満、脂肪分のとりすぎ、睡眠不足、過度のアルコール飲酒、煙草の吸いすぎ、栄養の偏り、ストレス、仕事中毒などなど。このような不規則な生活と、過度のストレスにさらされている人が、心筋梗塞でバッタリと倒れる、というケースが少なくないのです。

血管の老化を防ぐには、自分の生活習慣を変えることが不可欠です。逆にいえば、血管障害による心臓病は、その人のライフスタイルによってつくられるといっても過言ではないのです。


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