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ストレス

ストレスが人間を鍛える

ストレスといえば、すべてが悪いようにいわれますが、そうではありません。
よいストレスと悪いストレスがあるからです。ストレスを簡単にいうと“ある種の緊張状態”ということができます。

よく「緊張感を持って仕事や勉強に向かう」といいます。ある目的に向かって鍛錬を重ねたり、計画を完成させたり、また、いわゆる自己実現をめざしたり。そのためには当然、緊張が必要です。
このような緊張を克服してはじめて、人間は成長することができるのです。これはよいストレスです。

一方で悪いストレスがあります。これは、心や体に度を越えた緊張状態が続いたために、病的な症状となってあらわれるものをいいます。いわゆる精神的なトラブルやさまざまな病気の引き金となってしまう緊張感=ストレスです。
この「悪いストレス」を一般にストレスと呼んでいます。

すべての病気にストレスは関係している

脳に古くからある感情や心のギャップ

私たちの文明は急速に進歩、発展を遂げてきました。化学、医学、工学など、より高度に進化しています。ところが、心の問題はどうでしょう。おそらく太古の昔から変わっていないのではないでしょうか。

現代人と同様に古代の人も、家族のこと、病気のこと、食料のこと、争いごとなどで心を傷めていたことでしょう。しかし、現代人は時間に厳しく管理され、人間関係がより複雑になり、使いこなす道具のレベルが高く(テクノストレスなど)なっています。人工的な環境が増えたぶんだけ、つまり人がつくった環境にいればいるだけ、古代の人々に比べ、心はよりハードな緊張にさらされているといえます。

いいかえれば人工的な環境は、大脳皮質の結果、生まれたものです。それゆえに、脳に古くからある感情や心との間に大きなギャップができてしまうのです。
ストレスが現代病といわれるゆえんも、ここにあります。

心臓病の約6割はストレスが原因

さて、ストレスによって引き起こされる病気には、どんなものがあるのでしょうか。結論を先に言うと、「それはすべてである」ということができます。

例えば、ストレス性の頭痛があります。私のところに“頭が痛い”と訴え、外来を訪れる患者さんの約9割が、筋緊張性頭痛。つまり、肩こりによる頭痛です。肩こりはストレスとは切っても切れない関係にあります。これには、目が痛い、ショボショボする、かすむなどの症状を伴うことが多いものです。いわゆる自律神経失調症の、初期的な症状です。首の筋肉の奥深いところに、自律神経の中枢があります。ここがうまく働かなくなると、視力調節にまで悪影響を与えてしまうのです。このような症状に、さらにストレスが加われば、甲状腺異常などを発生する可能性も生じます。

ストレスによる過食、運動不足は、肥満の原因となるもの。肥満は、とくに心臓に過度な負担を強いるのです。ストレスそのものも、呼吸器や循環器、消化器などに悪影響を与えますが、肥満によって、さらに病状は加速されます。

呼吸器では、気管支喘息、過換気症候群(発作的に呼吸が激しくなり、呼吸困難、顔面・四肢のしびれなどを伴う)など。循環器なら、高血圧、動悸、胸の圧迫感など。これらは狭心症、心筋梗塞といった、重大な心臓病の引き金にもなります。心臓病の約6割はストレスなどによる精神的な要素が原因といわれています。

胃や十二指腸は特にストレスに弱い臓器。ストレスを受け続けると、潰瘍などができやすくなります。さらに肝臓、膵臓など消化器系全般、また、糖尿病など内分泌系、代謝系の病気をも誘発してしまうのです。つまり、すべての病気にストレスは深く関わっているのです。

ストレスは免疫力にも影響を与える

ストレスがさまざまな病気の引き金になることはすでに説明しましたが、ストレスは、体に本来備わっている自然治癒力、あるいは、免疫力(免疫による抵抗力)をも低下させてしまいます。

例えばガンです。体内で発生したガン細胞を攻撃するものとして「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」の存在が知られています。しかし、過度のストレスにさらされると、このNK細胞の攻撃力が弱まり、ガンに負けてしまう危険性が高くなるのです。

脳の視床下部にある情動(心)の中枢と免疫の中枢は、近いところにあるといわれています。このため、免疫と情動は常に注目されているテーマです。詳しいことはまだ不明ですが、「病は気から」といわれたり、また、長年連れ添ったつれあいを亡くすと、すぐに後を追うように亡くなる人がいることなど、これに関係しているのかもしれません。

科学技術庁の地震総合防災研究の一環として、1996年春に、大阪大学医学部が阪神大震災でストレスを受けた男女約120人から採血をし、この血液にガン細胞を入れ、どの程度の免疫力があるか調査したことがあります。同年5月の段階で、20代から50代までの男性53人を分析。その結果が報告されています。
それによると精神状態が「安定している」と答えた10人は、ガン細胞の41.7%が破壊されたのに対し、「不安定である」とした12人では、21.0%と半減。「やや不安定」の31人も破壊率が25.2%と、精神状態の安定度によって免疫力が著しく低下することがわかったのです。ストレスは、けっしてあなどれないものなのです。

心の病のメカニズム

ストレスはもちろん「心の病」をも引き起こします。いわゆる神経症(ノイローゼ)、うつ病、心身症です。

神経症の特徴のひとつに、「不安」があります。体に起こる症状としては、動悸、胸痛、不整脈、ふるえ、冷や汗、体の硬直などがあります。
人の感情は、「喜怒哀楽」に大きく分けられますが、心理学的には「喜」「楽」は同じものとして扱い、「喜怒哀不安」というように分類しています。このうち「不安」という感情が、神経症の大きな要因となるのです。そもそも不安というのは、過去→現在→未来と続く人生を考えたときに、未来に描く自分像と現実の自分像とのギャップからくるものです。

例えば、試験で60点、70点、80点と上がってきた人がいます。この人は、次の試験で
90点を予想します。ところが現実には、60点しかとれませんでした。この差の30点が不安の始まりになるのです。この不安はまた、次の試験にも影響してきます。「また自分の予想より、低い点数しか取れないんじゃないだろうか」と考えてしまうのです。
このように心の状態がひどくなると、現実の自分を見失い、未来のことばかりを考えて、さらに不安をつのらせるのです。いわゆる「取り越し苦労」というものですが、本人は真剣なのです。「ひょとしたら、また60点ではないだろうか、いや、もっと低い点数かもしれない」。

先ほど不安をつのらせると書きましたが、実は、このようなケースは逆に「不安を抑えすぎた」結果といえるのです。というのは、「60点かもしれない。いやそんなことはない。自分は不安なんかじゃないんだ」と思いすぎ、現実にはまだ試験を受けていないのにもかかわらず、そのことばかりを考えてしまうのです。
人はだれでも「不安」になります。この「不安」を自然に受け入れることができれば、つまり、自分が不安であることを認めることができれば、人間の基本的な感情である「喜怒哀不安」はうまくバランスがとれるのです。

「執着」(しがみつき)からくるストレス

「不安」を抑え、そのことにまったく気づかないでいると、強迫神経症という状態に陥ることがあります。「そこまでやらなくてもいい」とわかっていながら、もっと完璧にやらなければ納得ができない状態です。例えば、清潔さを徹底するあまり、トイレに行って手を洗う。そこまではよいのですが、その帰り、トイレのノブや部屋のドアを開けることで、またバイ菌がつき、別の場所で2度3度と手を洗わなければ気が済まなくなる。または、夜の戸締りを必要以上にチェックし、厳重にしないと眠ることができない。そんな強迫観念にとらわれます。
これらは自分でも異常だと思いながら、ますます度を越して、悪循環を繰り返すのです。この強迫観念こそ「不安」が形を変えて出現したものなのです。

神経症を別の側面から考えてみると、それは「執着」(しがみつき)ということもできます。過去、試験で80点取った自分に執着し、しがみつくわけです。あるいは、過去に、素敵な彼女や彼と付き合った自分、会社や社会での高い地位を得た自分にしがみつく。ところが、このような執着は、ちょっとしたことで引き剥がされてしまうものなのです。
試験で50点取ってしまったり、彼女や彼に振られてしまったり、また会社で部署が変わったり、リストラにあったり、自分が望んでいない結果を引き受けることはよくあります。しかし、執着が強いと、これらの出来事がストレスになり、このストレスによって神経症(ノイローゼ)になることも多いのです。

第3者からみると、なんでもないようなことがノイローゼのきっかけになってしまうことがよくあります。しかし、小さな石が1個落ちることから山崩れが始まるように、何10年にわたって知らず知らずのうちに、「執着」によるストレスが蓄積されているのです。このストレスが出口を求め、まさに溢れ出そうとしているときには、どんな些細なことでもきっかけとなりうるわけです。

「喜怒哀不安」が表現できない

うつ病は、英語で「DEPRESSION(デプレッション)」といいます。「表現する」というのは、「EXPRESSION(エクスプレッション)」。つまり“うつ”とは、表現ができないことをいいます。自分の感情を「喜怒哀不安」として表現ができずに、心の中にため込んでしまう状態がうつ病なのです。その結果、いつも憂鬱で、物事をすべて悪いほうに考えてしまいがちになります。家族や自分の将来について否定的。そして、責任はすべて自分にある、と考えてしまうのです。さらに悪いことには、自分は社会的にも家族の中でも無価値な人間であると思い込みます。このようなうつ病も、ちょっとしたことがきっかけで起こることがあります。

朝、ベッドから起きることができず、1日中、寝床にいる。また、外に出ることを極端に嫌い、密室的な空間に閉じこもる。このような傾向が顕著にあらわれるのです。うつ病で注意したいのは、自殺率が高いこと。周囲の人は、細心の注意が必要となります。うつ病は、自責の念が強く、あまりにも内省的であるために、1人で悩みぬき、発作的に自ら命を絶つ危険性があるからです。
何か自分なりに「EXPRESSION」する方法を見つけること、これが大切なのです。また周りの人はその「EXPRESSION」を受け入れてあげることが大切です。
ただ、無理に「EXPRESSION」させないでください。「EXPRESSION」できないで苦しんでいるのは本人なのですから。

ストレスが原因の主な病気はこれだけある

そのほか、ストレスが原因と考えられるものをいくつか紹介しておきましょう。

<燃えつき症候群(エンプティネスト・シンドローム)>
人生の目的でもあった大きな仕事をなしとげたあとで起こる過度の虚脱状態。これも一種の執着(しがみつき)ということができます。定年を迎えたサラリーマン、子育てを終えた主婦などにあらわれます。趣味など、別の執着を持つことで軽くなることがあります。
心因性書痙
突然、手が震え、文字が書けなくなる症状です。何かの心理的なものが原因で、それを取り除くと治ることが多いものです。

<ワーカーホリック>
「仕事中毒」などという訳語が与えられていますが、単に働きすぎの仕事熱心な人という意味ではありません。仕事を通じてしか自己のアイデンティティが確認できないために、働き続けていないと不安になり、仕事以外に目的や関心を見いだせないことをいいます。
過敏性腸症候群
車に乗ったり、電車に乗ったり、また、会社や学校に近づくと、お腹が痛くなったり、便秘や下痢を交互に繰り返したりする症状をいいます。

<心臓神経症>
急に動悸がしたり、脈拍が乱れたり、あるいは、一時的に脈が止まったりするもの。しかし、内科を訪れても、心臓そのものには異常がない場合が多く、心因的な要素を取り去ることで、治ることが多いものです。このように、心の問題が心ではなく、体に出る場合を心身症といいます。

<テクノストレス>
コンピュータに不適合を起こすタイプと、中毒的にのめり込むタイプの両方があります。心も体も疲弊して、うつ病になる場合もあります。

そのほか、心因性の喘息、帰宅拒否症、登校拒否症、出社拒否症、心因性の高血圧症などなど、ストレスによる病気は多岐にわたっています。ストレスが症状となってあらわれる場合、その人のいちばん弱い部分に発症するといわれていますが、まだ、はっきりと解明されていないのが実情です。

気が付かないストレスのほうが危険

「最近、ストレスがたまっちゃって、もうイヤになっちゃうよ」「カラオケでもいってパーっと歌でも歌わないと、ストレスも発散できない」
こんなセリフをよく聞きます。実は、この程度のストレスは、それほど大きな問題にはならないものです。なぜなら、程度の差こそあれ、自分自身がストレスを自覚し、それをうまく解消しようとすでに気付いているからです。

つまり、自覚しているストレスは、あまり怖くはないのです。このようなストレスは、心それ自体が解消してしまおうと働くからです。心というのは、思っているほどヤワではありません。ところが気付かないストレスというのがあります。これが少し、やっかいなのです。

例えば子供のときに、お母さんとお父さんといっしょにデパートに行きました。ところがオモチャ売り場で、あなたは動かなくなります。あなたは、気に入ったオモチャを見つけ、自分のものにしたいと思ったからです。どうしても買ってほしい。でも、ご両親ともダメと言います。あなたはダダをこね、泣く作戦に出ます。
ところが「同じようなオモチャがウチにもあるから、それでいっぱい遊んでからにしましょうね」とか、あるいは「今度のときにしましょうね」とか説得されます。欲しいという感情は残っているのですが、あなたは納得して家に帰ることにしました。ご両親はあなたをとても褒めてくれました。「この子は小さいのに聞き分けがいい」というわけです。

ここまでは、いいのです。ところがそのあと、あなたは知らず知らずのうちにままやパパが喜ぶような行動パターンを覚え、それを繰り返してしますのです。ママやパパがいない場面でも、すべてに我慢をしてしまう。つまり、ママやパパにとって「いい子ちゃん」になろうとする意識が無意識のうちに働いてしまうのです。泣いて泣いて、思いっきり感情を出しつくすことなく、我慢してしまうのです。

物事と言うのは理性や経験である程度、解決できるものです。しかし、感情(例えば、オモチャが欲しい)が処理しきれていなければ、気付かないまま、それはあたかも積立貯金のように蓄積されていきます。そしてあるとき、満期に爆発するのです。

「いい子ちゃん」タイプのほうが危険度は大きい

登校拒否や家庭内暴力に陥る子供の大半は、小さいときは手のかからない良い子の場合が多いものです。心の深いところで、ママやパパの期待に添える自分になろうと努力している子供です。子供は本来、自由でわがままなものです。「わがままな自分」と「いい子ちゃんの自分」がバランスよく共存していくのが、いわゆる成長です。ところが、子供はパパやママから好かれたい、愛情を受け取りたいという気持ちを常に持っています。そのため、ここで自分が「いい子ちゃん」であることによってのみ、パパやママから愛情を引き出せるという勘違いをすると、度をすぎて「いい子ちゃん」であろうとしてしまいます。あまりに、「いい子ちゃんの自分」のウエートが高すぎると、その無理が知らず知らずのうちに重なります。そして、抱えきれないくらいにため込んで、ある日ドーンと問題行動に出てしまうのです。

ストレスに悩まされ、ノイローゼや自律神経失調症、心身症やうつ病を誘発してしまう大人の大半は、この「いい子ちゃん」タイプなのです。
「大人になってまで“いい子ちゃん”でいたいなんて思っていないよ」
と言う人がいます。これは思うとか思わないということではなく、その人の無意識の行動パターンが「ママやパパを喜ばせる(安心させる)形」を引きずっているか、あるいは行動のベースになっている、ということなのです。真面目で律儀。不平や不満を言わずにコツコツと努力する。人に気をつかい、犠牲的精神も旺盛。こんな人が実はストレスに弱いという傾向があるのです。

ストレスをためやすい性格とは

それでは、ストレスをうまく回避、解消、処理するにはどのようにしたらよいのでしょうか。ストレスというのは不思議なものです。ある人にとっては、とても嫌な上司で口を聞くのもダメ。その人の前に出るだけでも虫酸が走る、という人がいるかと思えば、一方ではまったく逆に、同じ上司でも、クセがあって面白い、会話にスパイスが効いていて楽しいという人もいます。ある人にとっては不快なものが、ある人にとっては楽しいものになる。このようなケースは、さまざまな場面で発生します。つまり、ある人にとってストレスになるものが、ある人にとってはストレスにならない。むしろ、ストレス発散にさえなる、ということが起こるわけです。

ここで、大切なことがおわかりいただけたのではないでしょうか。ストレスというのは、それ自体、独立して存在しているものではなく、個人の内面の受け取り方、言葉をかえれば、レシーブの仕方によって違う、ということです。このことに気付くのが、ストレスを解消、回避するための第一条件になります。
よく、ストレスに弱いのは性格的に弱いからだ、と言う人がいます。これはとんでもない間違いです。性格的に強い人が、ストレスに対してとてももろい、というケースはよくあります。私はここで、説明の都合上、性格が“強い”“弱い”と書きましたが、しかし、本来は、性格に強いも弱いもないのです。

大切なことは、「あなたはなぜストレスをため込みやすいのか、その原因は何か」と言うことなのです。立ち止まって、冷静にあなた自身を振り返る。また、無意識の領域に眠っている自身の秘密を、意識の上に引き上げる工夫が必要になるのです。「人間は考える葦である」といいます。ちっぽけな存在だが、柔軟である、という意味ですが、私は、風のリズムにあわせながら柔軟に揺れる、葦のような心と体を持ちたいと考えています。

気がつかないストレスの存在に気づくには

では、どのようにしたら「ストレスをためている原因」を探すことができるのでしょうか。まず、「気付かないストレスがある」と言うことに気付かなくてはなりません。そして次に、自分の我慢のパターンに気付きましょう。そのためには、瞬間瞬間の自分の本当の気持ちを大切にするように心がけなければなりません。これは、いうなれば“喜怒哀不安のある自分、感情のある自分を取り戻す”ということにほかなりません。スポーツや読書、趣味や会話なども有効ですが、心理療法によっても探ることができます。

原因に気付くと、これまで無意識のうちにやっていた行動のパターンを、次のどれかの形で選択するようになります。

(1) 変える(Change)
(2) 変えない(Unchange)
(3) 修正(Modify)

いずれにしても、行動のパターンの存在に気付くということが先決です。
行動パターンを探るためには、ちゃんとした心理療法を受けなければなりませんが、ここでは簡単にできる方法をお教えしましょう。

鏡を用意してください。顔というのは人の心をそのままに出しています。つまり、自分の顔を見るということは、自分の心の状態を見るということにほかなりません。喜んでいるのか、起こっているのか、哀しんでいるのか、あるいは、不安に感じているのか、一目瞭然です。このようにすればおそらく、いかに自分が感情を無視して生きているのかがわかるはずです。
あなたは、今日何回、素直に喜怒哀不安を意識しましたか?鏡を見る習慣を、ぜひ持つようにしてください。

ストレスを解消するいちばんいい方法

よく「ストレスをどのように解消したらいいでしょうか」という質問を受けます。気分転換をする、スポーツをする、趣味を持つ、友人とおしゃべりをする、友達の輪を広げる、積極的に外出する、頭を使っても気を遣わないようにする、など答えはいろいろです。

しかし、人間は十人十色、その人にとって、その方法がフィットするか否かが問題です。
ストレスを解消するためにお酒を飲みすぎて、トラブルを起こすのなら、さらにそれがストレスになります。

「ストレス解消のためにパチンコをしましたが、負けてしまいました。このようなパチンコはストレス解消に役立つのでしょうか」
という質問を受けたとき、私は次のように答えました。
「ストレスも減って、おカネも減ったわけですから、いいのではないでしょうか」

あくまで冗談ですが、遊びでお金を使ってすっきりする人と、かえってストレスを感じてしまう人がいます。要は、勝ち負けがあるパチンコというゲームがその人にとって感覚的にフィットするものかどうか、それは、当人しかわからないのです。

ストレスと正面から闘ってみる

「ストレスの解消」という言葉をよく聞きます。しかし、解消という言葉の裏には、たまったストレスを別のところに移しているだけ、家の中にたまったゴミを単に外に出し、外はゴミの山という結果にも似ています。
解消してストレスが消滅してしまえばいいのですが、そうではない場合も多いようです。それならむしろ、ストレスと積極的に向き合う、ストレスと自分のオリジナルな解決の仕方を発見したほうがいいように思うのです。

例えば、いっそ、ストレスと戦ってしまう、というのはどうでしょう。敵(ストレス)の情報を収拾して、解決のための戦略をたて、それを実行するのです。ストレスの弱点を見抜き、果敢に攻撃を仕掛けるというわけです。
そのほか、ストレスを相手にしないことも大切です。必要以上に悩んだり、被害者的になることをやめ、客観的に見直すこと。なにしろストレスは、あなたが真面目になり、反応すればするほど、まるでイジメッっ子のように、それをエスカレートさせる特徴を持っているのです。そこを無視するわけです。ストレスがもし人間なら、いくらちょっかいを出しても、いっこうに振り向いてくれないあなたに愛想をつかし、そのうちバカバカしくなって、逃げだしてしまうことでしょう。

『メリー・ポピンズ』という映画がありました。クビになった銀行員が、思い立ったように突然、呪文をとなえます。「スパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」。何の意味もない呪文です。しかし、この呪文を唱えることで、銀行をクビになりしょぼくれていた男性が、まるで悪夢から智司さめたように、自分の感情と取り戻すのです。何かイヤなことがあったり、ミスをやって叱責されたりしたときに、あなた流の呪文をとなえてみてはいかがでしょうか。これも、ストレスには効果的です。

ストレスのもとになるものから回避することも大切です。ストレスになりそうな人から逃げたり、かわしたり。あなたにストレスを感じさせる人からの電話は、律儀に取らなくてもいいのです。誘いを断っていいのです。このように、ストレスになりそうな場面からは逃げてしまうのも手。逃げる、避ける、回避する、かわすというのも立派な戦術。卑怯なことではないのです。「逃げるが勝ち」というじゃありませんか。
また、悲しいときには思いっきり泣く。涙を大いに流し、精一杯泣いてみるのもいいでしょう。我慢する必要はありません。喜怒哀不安をストレートに出すのは、とても大切なことなのです。

とっておきのストレス撃退法を教えます

私のとっておきのストレス解消方をお教えしましょう。けっこう私もストレスがたまるほうなのです。

みなさんの中にも、食器を思いっきり投げつけて、壊してしまう方がいらっしゃると思います。私の方法もそれと同じ。ところが、壁や床にぶつけて壊してしまうのはいいのですが、後片付けするときには、妙にミジメになるものです。
「あー、また、やってしまった。バカだな」
というわけです。壊れて粉々に散らかった破片を拾うのも大変。心はますますミジメになるばかりです。そこで、私は次の方法を思いついたのです。

ゴミを捨てる専用のビニール袋があります。その中に、あらかじめ壊してもいい食器を、怒りと憎しみを込めて閉じ込め、紐で口をグルグル巻きにして閉じます。それを、ころあいをみて、思いっきり投げつけるのです。
袋の中の食器は、その衝撃でガッシャンとハデな音をたてて砕けます。これなら瀬戸物の破片が周囲に飛び散ることもなく、あと片付けの必要もありません。
次に「ざまあみろ」とばかり、私はそのビニール袋を取り上げ、そのままポイと片づけるのです。
「ストレス撃退、いっちょうあがりッ!」。何かこのとき、大きなストレスを袋の中に閉じ込め、やっつけてしまった感じがして、とても気分がいいのです。これ、けっこう効くのです。あなたもぜひ、試してみてはいかがでしょうか。


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